担当:寺島 洋史 准教授(Hiroshi Terashima, Ph.D., associate professor)
学生:D3: Cui, D1: 三宅,Noah, M2: 辰, 田中, Sharanya, M1: 久保田,Scott,B4: 川城,下山,RS: 関


当研究グループでは,数値流体力学(CFD)解析技術を援用した航空宇宙・機械・エネルギー分野の熱流体現象に関する研究を行っています.空力と推進を軸として,CFDの基礎となる数値解析手法や物理モデルに関する研究から現象理解を目指した応用研究を実施しています.これまでの研究成果はこちらをご覧下さい.また,当グループ学生の修士論文や卒業論文についてはこちらをご覧下さい.


以下,内容を更新中です(2022年5月).

CFD解析技術
当研究グループでは,オリジナルin-houseコードを使用して研究を行っています.一般的なCFDコードでは解析が困難な対象に取り組むためです.これら数値手法の研究は継続的に実施しています.

1詳細反応機構/圧縮性流体解析技術の研究 任意の詳細化学反応機構を考慮できる圧縮性CFD解析コードを開発しています.化学反応方程式に対する高速時間積分法と輸送係数計算に対する化学種バンドル法を融合させ,従来に比べて2桁から3桁の高速化を実現したユニークな解析技術です.これまで困難とされてきた数百化学種から成る大規模反応機構を考慮したCFD解析の実現を可能とします.
研究テーマ

2乱流燃焼モデルの研究 詳細反応を考慮した燃焼CFD解析で大きな問題となるのが,伝播火炎をとらえるための空間格子解像度です.粗い格子上でも火炎伝播を正確にとらえることが可能な乱流燃焼モデルの研究を行っています.上記の詳細反応機構/圧縮性CFD解析コードへの実装により,実機スケール解析の実現を目指しています.
研究テーマ

3超臨界圧燃焼流体解析技術に関する研究 臨界圧を超えるような高圧条件を超臨界圧と呼びます.超臨界圧条件では,特に極低温条件において,流体非理想性の考慮が必要となり,従来の熱流体モデルの適用が困難となります.そこで,熱物性,輸送物性,化学反応の非理想性を考慮した物理モデルの研究開発及びCFD解析コードへの実装を行っています.上記の詳細反応機構/圧縮性CFD解析コードとの統合により,ロケットエンジンなど超高圧環境燃焼解析が可能となります.
研究テーマ

4流体・構造連成解析技術に関する研究 航空機翼で発生するフラッターなどの物体変形を考慮できる遷音速空力解析コードです.物体変形を有限要素法(線形モード解析,幾何学的非線形解析)で取扱い,CFD解析と連成させています.
研究テーマ


CFDによる現象解明
実験測定が困難な対象に対して,CFD技術の利点を活かした熱流体現象の詳細な解明を行います.ロケットや自動車内燃機関など航空宇宙・機械推進器に関連した熱流体現象を対象としています.

1ロケットエンジン内の流体混合・燃焼現象に関する研究 液体ロケットエンジンでは,酸化剤と燃料が並行に噴射される同軸型噴射器がよく用いられます.また,作動条件は,超高圧かつ極低温という極限的な環境です.このような条件では,流体非理想性も顕著となってきます.本研究では,この同軸型噴射器及び非理想性流体を対象とし,噴射された推進剤がエンジン内でどのように混合し燃焼するかをシミュレーションによって明らかにします.
研究テーマ

2ロケットエンジン燃焼振動に関する研究
研究テーマ

2エンジンノッキング現象に関する研究 ガソリンエンジン熱効率向上の大きな妨げとなっているノッキング現象に関する研究を行っています.ノッキング現象は内燃機関開発当初からよく知られていますが,現象の複雑さから,その詳細は未だ明らかになっていません.そこで,当研究グループが独自に開発した反応性CFD解析手法を適用することで,これまでは困難であった流体と化学反応の相互作用を捉え,末端ガス自着火及び圧力発達過程など関連現象の根本的な解明を目指しています.内閣府SIP「革新的燃焼技術」(http://sip.st.keio.ac.jp/)への参画や国内自動車メーカー等と共同研究を実施しています.
研究テーマ

3代替燃料アンモニア燃焼に関する研究 近年,低炭素社会実現に向けて,化石燃料に代わる代替クリーン燃料の導入が検討されています.アンモニアは高密度水素キャリアであり,輸送に適していることから有望な燃料の一つとして考えられています.一方で,その難燃性が良く知られています.本研究では,アンモニアバーナー火炎の保炎及び消炎メカニズムの解明を通して,アンモニア火炎の特徴を理解し,消炎限界を拡大可能な燃焼制御技術の提案を目指します.
研究テーマ

4超臨界翼型の遷音速フラッター特性に関する研究 航空機翼周りの空力弾性現象に関する研究を実施しています.空力弾性現象は,流体と構造力が連成し発生する現象で,航空機ではフラッターやダイバージェンス現象が知られています.現在は,超臨界翼型の遷音速フラッター特性に注目し,その特徴的なダブル遷音速ディップ現象の解明を行っています.
研究テーマ

5遷音速振動翼周りの非定常空力特性に関する研究 遷音速域では,翼面上に衝撃波,迎角によっては衝撃波-境界層はく離の発生と複雑な流れ場が形成されます.本研究では,フラッター解析への応用を視野に,ピッチング振動する遷音速翼周りの解析を行い,非定常空気力特性における衝撃波や衝撃波はく離の役割解明を行っています.
研究テーマ